整形外科の理学療法士がピッチングフォームをチェックするポイントとは?
普段スポーツ整形の理学療法士として勤務していると、肩ひじを痛めて通院してくる野球選手も多いです。小学生から高校生、大学生や社会人まで多くの選手のフォームを見させていただきました。
やはり肩ひじを痛めてしまう選手の中にはフォーム的にストレスをかけてしまっている場合も多くあるので、フォームを評価するのはとても大事なことになると思います。
そこで今回は職場の野球経験者に協力してもらい、理学療法士がどういった部分を見ているのか紹介していきたいと思います。
私と同じ高校時代には甲子園出場経験もある野球エリートです!本職は外野手とのことですがピッチャー投げをお願いして撮影させてもらいました!
野球エリートですが最近は野球から離れているようで、フォーム的にも色々気になるところがあったのでつっこませていただきます。(笑)
まず気になったのは、重心移動です。
重心移動で大切なのは、なるべく体を開かずに、軸足からのパワーを上半身に伝えることだと思っています。
この部分で良くないところは、軸足の右ひざが内側に入ってしまい、骨盤の左側が上がってしまっているところです。これでは地面から得られる”床反力”の恩恵が受けられず、勢いが減少してしまいます。理想は軸足はまっすぐ伸びており、骨盤も並行を保ちたいところです。また、右ひざが内側に入ってしまうことで、骨盤が早く回ってしまい、体の開きも早くなってしまいます。治すとすればまず右ひざを外側に向ける意識で重心移動をしてもらうと良くなるかな?と思っています。
次に左足が接地して重心移動が終わったところをチェックします。
この時一番大事なのは右ひじの位置です。
右ひじが両肩を結んだ線まで上げているかどうかを見ています。なぜかというとここから骨盤と上半身を回転させて腕を振っていくのですが、肘が下がった状態で腕を振っていると、肩ひじにかなりストレスがかかってしまいます。
この選手を見るとかなり肘が下がってます(笑)。
肘が下がる選手は棘下筋と呼ばれる肩のインナーマッスルや三角筋の後部が上手く使えなくなっている可能性があるので、キューバンプレスというエクササイズを行うことをお勧めしています。キューバンプレスについては過去にやり方を説明していますので、よろしければそちらも見ていただければ幸いです。
リリースポイントでは肘が伸びきっていることが大事なのですが、曲がってしまっていますね。
肘が曲がった状態だとボールに力が伝えられないのと、肘への負担も大きくなってしまいます。肘を伸ばしたところでリリースする練習をしましょう。
最後に後ろからみたところですが、体重移動の部分です。ここでチェックするのは股関節が曲がっているかどうかです。足関節、膝関節、股関節がちょうどよく曲がっていると体重移動で爆発的にパワーが発揮されます。
この場合股関節が伸びていて、上半身もまっすぐ地面から垂直に伸びてしまっています。少し前傾してできるとパフォーマンスが上がるかと思います。
患者さんとしてフォームを見る際、時間も短いというのもありますが、なぜ良くないかを理解してもらえないと、逆に悪くなってしまう場合もあります。またひとつが良くなると他の部分も一気によくなることがあり、とても難しいですが、奥が深く面白いです。
みなさんも自分のフォームを定期的にチェックするのはとても大事だと思います。特にいい時と悪い時何が違うのか見ていくのもわかりやすかもしれません。せっかく体を鍛えてもフォームのせいでパフォーマンスが上がらなかったり怪我をしたりしては悔しいですよね。
これから一緒にフォームについて勉強していきましょう!
いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
また次回よろしくお願いいたします。
では!